電験勉強

令和元年度に電験二種合格しました。皆様のお役に立てるよう、電験一種〜三種に関する情報をアップしていきます!


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超速応励磁装置

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皆さんこんにちは。

今日は、超速応励磁装置について、平成17年一種二次試験(電力・管理)問題を見ながら書いていきます。

一種・二種二次試験を受験予定の方は、しっかりと勉強しておく必要があると思います。

さて、平成17年一種二次試験(電力・管理)では、

(1)超速応励磁装置の目的および機能

(2)超速応励磁装置を採用した場合に、系統安定化装置(PSS)をあわせて設置する理由

(3)PSSの機能

について、簡潔に説明せよ。といった問題があります。

正確な解答については、参考書等でご確認いただきたいですが、ここでは私なりにまとめた内容を紹介したいと思います。

(1)超速応励磁装置の目的および機能

まず、超速応励磁装置とは何か?ですね。

それぞれの単語の意味を調べると、

「超」は、程度が普通以上であることや、普通をはるかに超えたものを表している

「速応」は、状況に応じて素早く行動することを表している

ことになるかと思います。これらより、超速応励磁装置は単語そのままですが、

「普通の励磁装置以上に素早く励磁することができる装置」と解釈出来ると思います。

問題は、「励磁装置」の部分でしょうか。

どういった時に、どのように働くのかなど...

超速応励磁装置(機能)が必要となる状況

これは、電力系統(送電系統)に短絡や地絡事故が発生すると、この装置(機能)が必要となります。

短絡や地絡事故などが発生すると、発電機の端子電圧が低下し発電機の電気的出力(有効電力)が低下します。なお、事故後も発電機の原動機は駆動したままで、発電機の機械的入力は零とはなりません。

ここで発電機の電気的出力をPe、機械的入力をPm、相差角をδとし、これらの関係を表したものが、発電機の有効電力(電気的出力)ー 相差角曲線図となります。

この曲線図はよく出てくるので、皆さん見たことがあると思います。

それでは、私の下手くそな手書き図で超速応励磁機能についてご説明します。

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まずは、添付写真の普通励磁方式についてですが、

電力系統に事故が発生する前(正常運転時)は、機械的入力Pmと有効電力(電気的出力)Peが等しい点aで運転していますが、事故が発生すると運転点(有効電力)は点bに移り、発電機が加速することにより、相差角δはδ0から増加します。

相差角がδ1のところで事故が除去されたとすると、電力は点eに移動するとともに、相差角はさらに増加していきますが、相差角δ2のところでは、面積abcdで表される加速エネルギーと面積defgで表される減速エネルギーが等しくなり、安定な状態が維持されます。

仮に、事故除去が遅れたり、発電機の励磁制御が正常に機能しなかった場合など、加速エネルギーAが大きくなってしまい、これが減速エネルギーBより大きくなってしまうと、相差角の増加が続き、相差角δ2がδmを超えて脱調状態となってしまいます。

なお、面積abcdと面積defhgが等しいときが安定性を維持できる限界となります。(運転点hは、事故除去後の有効電力 ー 相差角曲線でPm<Peを満たす最大相差角点)

以上のように、電力系統に短絡や地絡事故などの大きなじょう乱があった場合でも、安定な状態で運転しうる度合いが過渡安定度になります。

この普通励磁方式の場合は安定な状態であるため、問題無いと思いますが、超速応励磁方式では、サイリスタ励磁方式などの応答速度の速い励磁装置を用いて、励磁電圧(頂上電圧)を大きくして事故発生後の発電機の内部誘起電圧を急速に持ち上げ、有効電力を増大し減速エネルギーBを大きくすることで過渡安定度を向上させています。

普通励磁方式では、時刻t2で加速エネルギーと減速エネルギーが等しくなっているのに対し、超速応励磁方式では、時刻t2より短い時刻t2'で等しくなっており、普通励磁方式より素早く励磁されていることが分かると思います。

なお、電気学会の電気専門用語集(WEB版)によると、

励磁系電圧応答時間(励磁装置出力電圧が励磁系頂上電圧と定格負荷時の界磁電圧との差の95%だけ増加するのに要する時間)が0.1秒以下で励磁系頂上電圧と定格負荷時の界磁電圧との比が2.0以上を通称超速応励磁方式というようです。

まとめ

○ 超速応励磁装置の目的

電力系統に短絡や地絡事故などの大きなじょう乱が発生した際に、発電機の動揺を抑制し、過渡安定度の向上を図る。

○ 超速応励磁装置の機能

サイリスタ励磁方式などの応答速度の速い励磁装置を用いて、系統事故時の発電機端子電圧の低下を迅速に検出し、励磁電圧(頂上電圧)を大きくして発電機の内部誘起電圧を急速に持ち上げ、有効電力を増大し減速エネルギーBを大きくすることで、過渡安定度を高め、脱調防止を図る。

 

どの参考書を見ても、基本的には同じようなことが書かれていますので、参考程度に読んでいただければ良いなと思います。

 

(2)超速応励磁装置を採用した場合に、系統安定化装置(PSS)をあわせて設置する理由

(3)PSSの機能

については、気力があれば記事にしたいと思います。

 

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